2005-01-01から1年間の記事一覧

『バグダット・カフェ』(1987年西ドイツ)監督/パーシー・アドロン

砂漠の真ん中にある,埃まみれのひなびたモーテル兼カフェ『バグダッド・カフェ』。女店主の黒人女ブレンダは,ろくでなしの亭主と,わがままな子供たちに振り回され,イライラと腹立たしいばかりの毎日を送っていた。憂鬱顔の従業員に,変わり者の滞在客た…

『海を飛ぶ夢』(2004年スペイン)監督/アレハンドロ・アメナーバル

この作品は,実話を基にしたものらしい。主人公は海での事故で,四肢麻痺で26年間ベッドに寝たきりの男。彼は,自分の尊厳を失わないため,あるいは自由を取り戻すために,「尊厳死」を強く望む。彼を支える,家族や友人達の,苦悩や葛藤。彼が出会った2…

『マカロニ』(1985年イタリア)監督/エットレ・スコーラ

若い頃,アメリカ兵士としてイタリアに駐在していた男(ジャック・レモン)が,晩年になって商用でナポリを訪れた。彼はかつて恋人だった女性の家を訪れるが,奇妙なコトに,村中で彼のコトを知らない者はなく,女性の夫からも子供たちからも,英雄扱いをさ…

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』2004/6/20 大阪追加公演(梅田ドラマシティ)

三上博史主演のロック・ミュージカル。東京のパルコ劇場から始まったツアーだが,各地での前売りチケットはすべて完売。急遽,追加公演が決定した。会場は超満員で通路にも補助席が出ており,熱気に溢れている。ネットオークションで28,000円(定価は…

『上機嫌の作法』斎藤 孝☆角川書店

不機嫌はなにも生産しない。人の機嫌は気分に左右されるものであるが,著者は「上機嫌」を技化(わざか)してコントロールするコトができる。その実践的な方法にまで言及した本。

『富士日記(上中下巻)』武田百合子☆中公文庫

作家の武田泰淳夫人である百合子さんが,ご主人と愛犬ポコと共に富士山にある別荘で過ごした日々を綴ったもの。なんというコトもない日常が,百合子さんの溢れるような感受性で淡々と書きつけられてゆく。

『マルコヴィッチの穴』(1999年アメリカ)監督/スパイク・ジョーンズ

途方もなく奇想天外でシュールで摩訶不思議な映画。 ある場所に不思議な穴を発見した,冴えない男の物語。その穴は,なんというコトか俳優「ジョン・マルコヴィッチ」の脳に通じていて,その穴に入れば,いつでもマルコヴィッチの中へ入るコトができる,のだ…

『泳ぐのに,安全でも適切でもありません』江國香織☆集英社文庫

第15回山本周五郎賞受賞の短編集。最初の一編を読みだしてすぐに,ワタシの知っている(と思っていた)江國香織の作風とは随分違い,少々面食らった。好き嫌いの分かれる短編集かもしれない。ワタシは好きだ。甘ったるくなくシャープで,淡々としていて,…

『猛スピードで母は』長嶋 有☆文春文庫

ずっと気になっていた作家・長嶋有の,芥川賞受賞作。面白くて,いっきに最後まで読んでしまった。あくまでも軽い読み口,面倒な解釈はいっさい必要ない。それでも,ここに描かれているコト(ストーリーではなく,強いて言えば主人公の感情とか感覚とかいう…

『リプリー』(2000年アメリカ)監督/アンソニー・ミンゲラ

音楽も映像も美しい映画。 貧しい青年リプリー(マット・デイモン)は,金持ちの御曹司で自由きままなディッキー(ジュード・ロウ)と知り合う。ディッキーの気儘な愛情を受け,リプリーは束の間,裕福な上流階級の暮らしを知る。リプリーはディッキーを慕い…

『ミナ』 (1993年フランス)監督/マルティーヌ・デュゴウソン

同じ日に,同じ病院で偶然に出生した,ミナとエテル。幼少の頃,バレエ教室で偶然に出会い,それからずっと親友だった2人の物語。 お互いの幸運に,時には嫉妬しあい,親友と比べて自分の人生を嘆きながら,懸命にシアワセになろうともがき続ける少女たち。…

『マレーナ』(2000年イタリア)

あの『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品。1940年のイタリア。参戦したその日に初めての自転車を手に入れた、主人公の少年時代の回想だ。 少年たちが密かに興味を持っているマレーナは、27歳の戦争未亡人。男好きのす…

『スターリング・ラード』(2001年/アメリカ・ドイツ・イギリス・アイルランド合作)監 督 ジャン=ジャック・アノー

舞台は第二次世界大戦。対ドイツ軍との冒頭の戦闘シーン,迫力こそ『プライベート・ライアン』には劣るが,荒涼と広がる戦場の寒々しさが印象的だ。ひと目見ただけで,明らかに形勢は不利。しばし,呆然とその光景を眺める主人公たちは,次の瞬間には,その…

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2002・デンマーク)監督 :ラース・フォン・トリアー

冒頭,暗闇の中,約3分30秒の音楽のみ。視力を失いつつある,主人公セルマの持つ暗闇を表しているのだろうか。 ミュージカルの始まりのような,オケの音楽が徐々に高まって,観客が途方に暮れだした頃,タイトルが映し出される。前衛的というか,実験的と…