『ミナ』 (1993年フランス)監督/マルティーヌ・デュゴウソン


同じ日に,同じ病院で偶然に出生した,ミナとエテル。幼少の頃,バレエ教室で偶然に出会い,それからずっと親友だった2人の物語。


お互いの幸運に,時には嫉妬しあい,親友と比べて自分の人生を嘆きながら,懸命にシアワセになろうともがき続ける少女たち。うまくいかない恋,思い出すのも恥ずかしいような思春期の失敗,綺麗になりたい,というコンプレックスと孤独と虚栄心と。主役のミナ(ロマーヌ・ボーランジェ)と親友のエテル(エルザ・ジルベルスタン)を演じる2人の女優の,なんという魅力。性格も容貌も全く違う2人のやりとりは,時にコミカルで時に残酷で,それでも怖ろしくリアル。

象徴的に,くり返し流れる曲は,60年代にパリで活躍した歌姫,ダリダの『18歳の彼』。ラスト近く,この曲がミナの孤独をいっそう際だたせて,哀しく印象的だ。


偶然,この映画に出会ってから,録画したビデオテープを,何十回繰り返して見たコトだろう。大好きな,大切な映画。見るたびに,その結末が哀しい。それでも,見終われば,「女ともだち」に無性に逢いたくなる,そんな作品。


原題は,『ミナ・タネンボーム』。