『マレーナ』(2000年イタリア)

syoka2005-01-06



あの『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品。1940年のイタリア。参戦したその日に初めての自転車を手に入れた、主人公の少年時代の回想だ。


少年たちが密かに興味を持っているマレーナは、27歳の戦争未亡人。男好きのする美貌と肉体のせいで、町中の男たちの興味を引き、町中の女たちの敵意の的となっている。

しかし少年は、夜中に彼女の家の壁から覗き見した時にレコードに会わせて夫の写真を胸に踊る彼女の姿を見る。町の噂とは裏腹に、彼女は夫だけを愛して生きているのだ。同じレコードを買い、毎晩それを聞きながら、マレーナを夢想する少年。


少年は教会で祈る。「僕が大人になるまでの数年間、マレーナを町の人から守ってください」。


戦火は激しくなる。この町で彼女の働き口は無く、彼女の生活は成り立たなくなってゆく。彼女は、髪を染め、売春婦となった。


戦争が終わり「開放の日」。町の女たちが、広場の真中で、マレーナにリンチを加える。半裸の下着姿で、血まみれになり、髪を切られる彼女を誰も救おうとしない。


変わり果てた姿のマレーナは列車に乗り、ひっそりと町を出て行った。駅でその彼女をただ見送る少年。


1年後。戦死したはずのマレーナの夫が戦地から帰ってきた。戦死は誤報だったのだ。しかし、町の人は彼によそよそしい。少年だけが、手紙でマレーナが駅から去っていったこと、夫だけを愛していたこと、売春は生きるための手段だったことを伝える。


数年が過ぎ、町にマレーナと夫が帰ってきた。年を取り、かつての美貌は失われ、何か病気のようにも見える。市場で買い物をする彼女のあとを追いかける少年。買い物袋からこぼれたオレンジを拾ってやった時に、マレーナは初めて少年の顔を見つめた。


「マレーナさん、お幸せに」初めてかけた少年の言葉にマレーナはかすかに微笑み、去っていく。


少年はこの日を境に、少年時代に別れを告げた。しかし、これから先、何人もの女を愛そうと心に残るのは、少年時代に愛した、彼女だけだった。。。


またまた泣かされた、トルナトーレ監督。音楽は、エンリオ・モリコーネ。シチリアの青い青い,海。「少年時代」(「少女時代」もだけど)と言うだけでどうしてこんなに、甘酸っぱくて切ないのか。遥か彼方の、絶対に帰ってこないモノだから?